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「量子情報理論基礎演習 I」講義資料

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12月9日の「紙と鉛筆で学ぶ量子情報理論基礎演習」の講義資料です。ご利用ください。https://goo.gl/8PWsWh ------------------------
「はじめに」から
------------------------ 本演習は、量子ゲート型量子コンピュータの基礎を演習形式で学ぶことを目的としたシリーズの第一回目である。対象を、量子論を初めて学ぶ人として、高校生程度の数学的知識を前提に、基本的なベクトル・行列計算の入門演習を含んでいる。 量子ゲート型量子コンピュータの入門としては、基本的な量子アルゴリズムや量子通信手法の紹介、量子情報理論の入門としては密度行列や量子情報とエントロピーの紹介等、重要な部分が欠けているのだが、それらについては、シリーズの次回以降で取り上げたいと考えている。 また、ここで取り上げられている素材は、物理学的な量子論から見ると、大幅に簡略化されている。こうしたアプローチは、量子論の入門としては、むしろ望ましいことのように筆者は考えている。 こうした簡略化が可能なのは、物理学的量子論が、実在的な物質を対象とし、その運動法則の解明を目指すのに対して、少なくても、量子ゲートの理論は、量子論をそのフレームにしつつ、その対象が抽象的・形式的なものであるところが大きいと考えている。(現時点での量子コンピュータの実装レベルでの達成と、その理論的展望との間には、大きな乖離がある。) ただ、量子情報理論は、量子論から派生したそのサブセットでも、単なるその応用分野だというわけでもない。近年の物理学の大きな話題は、量子情報理論が、物理学そのものの基礎理論なのではないかという関心の高まりのように筆者は感じている。こうした関心が多くの人に共有されることを期待している。 準備期間が短かったので、いろいろ行き届かないところがあると思う。それについては、ご容赦されたい。
------------------------ 僕の予想を大きく超えて、50人以上の人が申し込んでくれました。もう、受付閉めていますが、当日の飛び入り参加も歓迎です。 反応に気を良くして、第一回目の続編もぜひやりたいと考えています。回を重ねるにつれちょっと難しくなるので、参加者減ると思うので、この第一回と同じ内容での開催を、当面考えようとしています。 30~50人規模の会場探していま…

失敗

9日の「紙と鉛筆で学ぶ量子情報理論基礎演習」ですが、告知文には「紙と鉛筆持参のこと」としか書いてないんですが、資料・演習課題は、当日、「紙」ではなくネット経由で電子的に配布しようと思っています。すみませんが、紙と鉛筆だけでなく、PCも持参してもらえませんか?

MaruLabo Presents

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12月17日 クラウドを利用した新しいスタイルで、ディープラーニングのハンズオンを行います。 申し込みサイト:https://lab-kadokawa40.peatix.com/ 以下、丸山からのメッセージです。 ------------------------------
 今回のハンズオンは、ディープ・ラーニングの応用として最大の成果を納めている「画像認識」技術を素材として、ディープ・ラーニングの基礎を学ぶことを目的としています。個人の興味としてではなく、会社で、AIの取り組みを始めようとしている人には、ちょうどいい入門講座になると思います。  まず、はだかのTensorFlowで、DNN (Full Connect Multi-Layer Feed-Forward Neural Network) の基礎を学びます。そのあとは、Kerasを使おうと思っています。ディープ・ラーニングを実際に使う上でで重要なことは、モデルを変更したり、メタ・パラメーターを変更して、推論の制度を上げることなのですが、今までのハンズオンでは、なかなかそこまでできませんでした。Kerasなら、そういうことが簡単にできます。  丸山は、角川アスキー総合研究所と、ディープ・ラーニングの「6時間集中講義」を何度か行ってきました。ただ、それは「座学」でした。「6時間集中講座」に参加された方、講義部分は重複がありますが、ぜひ、自分の手で実際に、ディープ・ラーニングを動かしてみる、このハンズオンにご参加ください。  丸山は、また、昨年来、MaruLaboとして、Googleさん、AWSさん、Microsoftさんと、それぞれのユーザーコミュニティである TFUG, JAWS, JAZUG の協力を得て、「クラウド・ハンズオン」を展開してきました。それは、以前から、ディープ・ラーニングの学習と開発には、クラウドのGPUを使うのが一番いいだろうと考えていたからです。  ただ、「クラウド・ハンズオンでは、いろいろ失敗も経験してきました。GPUの手配ができなくて、CPU10数個で代用したものの、時間内に機械の「学習」が終わらなかったり、GPU環境の構築に時間の大半を使ってしまって、ほとんど何もできなかったり。また、参加者は、クラウドのアカウントを事前に取得することが必須なのですが、苦労して周知したはずなのに…

氷の結晶

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外気がマイナス10度くらいで、内側が暖かいと、ガラスに大きな雪(氷?)の結晶が成長する。これは部屋の窓ではなく「風除室」(玄関の前に部屋がある。北海道では普通)の窓ガラス。北海道の部屋は暖かいので、居間のガラスは、こうはならない。ただ、今年の冬は、寒そうだ。

ヴォヴォドスキーの「最後」の仕事

2ヶ月前に亡くなった数学者のヴォヴォドスキーが、「最後に」、どんなことに興味を持っていたのか調べ始める。 いったん、「晩年のヴォヴォドスキー」と書きかけたのだが、事故やその他の理由で突然死した人に(彼は動脈瘤が破裂して51歳でなくなるのだが)「晩年」というのは、あまり馴染まないなと気になって「最後に」に書き換えた。 ただ、「最後に」は、短い時間しか指し示さない。最後の論文は、最後の一つの論文だ。それに対して、「晩年」には、時間的な幅がある。いくつかの論文を対象にできる。「晩年」でもいいのかな?  「晩年」には、年齢制限もあるのかも。若くして亡くなった尾崎豊やエイミー・ワインハウスには、「晩年」は、似合わない。(突然死だから?) でも、子規は30代で亡くなっているのに、「晩年」といってもおかしくない気がするのはなぜだろう?(ずっと、病床にあったから?) どうでもいいことで本題から外れたが、ヴォヴォドスキーが最後に取り組んでいたのは、"C-System"という対象のように見える。 "C-System"の'C'は、Contextual Categoryの'C'で、Contextのことだと思っていい。わかりやすい説明は、ここにある。https://ncatlab.org/nlab/show/context 平たく言えば(そう解釈できるという意味でしかないのだが)、コンテキストの意味論の形式化をやっているのだ。 僕は、現在の人工知能技術が、言語の意味理解と数学的推論能力という二つの点で人間の壁を乗り越えられていないと感じているのだが、それは、「シンボル」レベルの抽象を持たない、べったりした「コネクショニズム」還元論というディープラーニングの方法論自体の限界だと考えている。 グロタンディック=ローヴェール=ヴォヴォドスキーという、現代数学の、いわば、極めて抽象的なレベルでの探求が、こうした人工知能技術の具体的な課題と結びつくかもしれないと考えるのは、とても楽しいことだ。 少し、「意味の意味」、あるいは、その数学的把握である「意味の形式的理論」と言われるものを、紹介したいと思う。

11/30マルレク「量子コンピュータとは何か?」の様子

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今日のマルレクと懇親会の様子です。


Jeff Dean

風邪ひいて、Jeff Dean に会いに行けなかった。残念。

"Rockstar"

Spotifyの「トップ50(グローバル)」聴いていると、ポスト・マローンの"Rockstar" https://goo.gl/ccebpD が、何週もトップを走っている。ぶっちぎりの人気だ。ビルボードのランキングでも同じ。 ただ、日本の洋楽のランキングだと、100位以内にも現れない。(レコチョク「洋楽総合 ランキング デイリー 11/28 更新」https://goo.gl/SgMcrV)このサイトの客筋が悪いのかとも思ったが、この日本のチャートにも、グローバルなチャートでヒットした曲は、たくさん入っている。 確かに、「洋楽」という感覚は、古いんだろうな。グローバルな時代だから。日本にもいい曲はたくさんあるし。 でも、"Rockstar" は、日本では、ほぼ完全にスルーされているように見えるのだが、どうしてだろう?  「PVがいや」(VEVOのは、日本人を切っている!)
 「歌詞が嫌い」(聴いて、歌詞わかります?)
 「人相が悪い」(そうですか) どうも、うまい理由が見つからない。
(僕が、引用したのと、表示されるPVが違ったのだが、VEVOのは、確かにヒドイ) (逆に、アメリカやヨーロッパで、"Rockstar"が、爆発的に流行する理由がわからないと、思う人もいるだろう。) ただ、「統計資料」(ヒット曲の国別のランキングですが)でわかることは、我々は、自分で思っているほど、「グローバル」でも「多様」なわけでもなさそうだということ。 それを明らかにするのが、「何を受け入れるか」というわかりやすい形ではなく、「何を受け入れないか」という無意識だが強いフィルターが存在することなのは、興味ふかい。 でも、それが、今の「時代」の一つの特徴なのだろう。

11/30マルレクの講演資料公開

https://goo.gl/muA5TU ご利用ください。 -----------------
「はじめに」から
----------------- 小論は、量子コンピュータとは何かについて、一般の読者を対象に、そのオーバービューを与えようとするものである。 量子コンピュータの世界は、今、技術的にもビジネス的にも一つの展開点を迎えようとしている。その展開点とは、技術的には、この数年以内に、50 qubit程度のシステムを安定的に構築する目処が付き始めたことであり、ビジネス的には、そうした技術的達成をきっかけに、それらを利用した量子コンピュータの具体的・現実的なビジネス利用の可能性の模索が始まっていることである。 それらの到達点は、確かに、未だ萌芽的なものではあるのだが、こうした動きは、将来の量子コンピュータの飛躍を確実に準備していく軌道を切り開きつつある重要なものだと、僕は考えている。 小論では、最初に、我々が、量子の不思議な振る舞いにどのようにして気づき、またそれをどのように理解してきたのかを紹介する。続いて、こうした量子の奇妙な性質をコンピュータに利用しようとするアイデアが、どのように発展してきたかを振り返る。 続く、二つの章では、「量子ゲート型」と「量子アニーリング型」という、現在の量子コンピュータの二つの基本的なアーキテクチャを取り上げる。 最後に、各社の現時点での取り組みの状況を紹介する。ここでは、「量子コンピュータのキラー・アプリは、素因数分解での暗号破り」というこれまでの通念が、もはや働いていないことに、留意すべきかもしれない。 小論では、量子コンピュータの技術的側面を主要に述べたのだが、こうした新しい技術を牽引しているのは、新しい科学的な知見である。前回のマルレクで取り上げた、「量子情報理論」は、これからますます、理論的にも実践的にも、その重要性を増していくだろう。今後も、引き続き紹介していきたいと考えている。 今回、マルレクでの量子コンピュータの概論と並んで、演習形式で「量子情報理論基礎演習」を開講する。こちらにも、多くの人が参加することを期待したい。 量子コンピュータのビジネスに参入するには、いろいろ障壁があるかもしれない。ただ、その前提として、その基礎理論を知ることに大きな障壁はない。「紙と鉛筆」があればいいだけだと思う。 まず、「学ぶ」ことか…

「紙と鉛筆」が必要なわけ

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先に、ビジネス視点で量子コンピュータを考えるアプローチと、量子情報理論から量子コンピュータを考えるアプローチは、「通底」していると書いた。 ただ、ここには、いくつかの問題がある。 第一に、各人が、各人のビジネスの視点から、この分野への参入を考えてみよう。必要とされる資本の規模でも人材確保の面でも、ビジネス的な障壁は、AIやIoT分野よりはるかに高い。 先のGoogleの"Commercialize論文" https://goo.gl/4qee3o が、未来を "Super Star Effect"で説明しているように、この市場が、ITの世界の巨人たちの競争の場となり、Superじゃない人たちは弾き飛ばされ、彼ら巨人 Super Starたちの力が一層卓越する機会となる可能性は、高いのかもしれない。 第二に、個人のスキルのレベルで、この分野への参入を考えてみよう。ここでも、障壁は低くはない。 先のGoogleの"Quantum Supremacy論文” https://arxiv.org/pdf/1608.00263.pdf は、簡単に要約すると、量子コンピュータの開発に、小規模な(50 qubit程度の)量子コンピュータが利用できることを理論的に明らかにしたものだ。 ただ、この論文を読むのは、簡単ではない。それは、もう一つの障壁である。 それは、従来の、量子ゲートの組み合わせで、いくつかの量子アルゴリズムを記述するのとは異なる難しさがある。それは、現代の量子情報理論の言葉で書かれている。 重要なことは、この論文は、Googleにとっては、ビジネス的にも重要な意味を持っていることである。(それは、僕がいう、ビジネスと理論の二つのアプローチが、客観的には「通底」していることの、いい例だと思う。) Shorのアルゴリズムによる量子コンピュータによる「暗号解読」を「キラーアプリ」とする量子コンピュータ像は、到達すべき目標が、現在の技術水準からするとあまりに高く、いつになったら投資を回収できるのかわからないものだった。 それに対して、この論文が示すような、小規模の量子コンピュータで、bootstrap式に次の規模の量子コンピュータを開発するという方式なら、開発のそれぞれのステップで、規模に応じた応用分野を拡大しながら、リター…

なぜ、今、量子コンピュータなのかが、よく分かる記事

それには、John Martinisが率いるGoogleのQuantum AIチームが、今年の春、Nature誌に投稿した次の記事を読むのがいいと思う。 "Commercialize early quantum technologies"「量子技術を早くに商業化する」https://goo.gl/4qee3o 初期段階にある量子技術を、いち早くビジネスの軌道に乗せることの重要性を論じている。Shorのアルゴリズムによる暗号解読が「キラーアプリ」だというような見方は、当然していない。 その応用について、三つの優先分野を上げている。   1. Quantum simulation.
  2. Quantum-assisted optimization.
  3. Quantum sampling. (短いものなので、全文訳してもいいのだが、商業誌の記事なので、自粛。マルレクで話します。) 3. については、技術的には、同じGoogleのチームの次の論文が重要。 "Characterizing Quantum Supremacy in Near-Term Devices"
https://arxiv.org/pdf/1608.00263.pdf 今後数年以内に実用化できる 50 qubit 程度のデバイスで、量子計算の優位性が、はっきり示せるというもの。 あと、来月のはじめに、マウンテン・ビューで開かれる、次のイベントが面白そう。 "Quantum Computing for Business" https://www.q2b.us/ これ行きたかったな。これは、ネットでリアルタイムに流してくれそうもないからな。 Google, Microsoft, IBM, D-Wave の揃い踏み。カルテクのPreskillがキーノートをする。(Preskillのレクチャーノートには、随分、世話になった。http://www.theory.caltech.edu/people/preskill/ph229/ ) ただ、こうした商業化・ビジネス化の流れだけでなく、前回のマルレクで取り上げたような、量子情報理論への大きな理論的関心の高まりが、僕は、本当は、大事なのだと思うのだが。 二つの流れは、通底している。

量子bitの基礎は、難しいものではありません

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量子論は難しい物理学ですが、量子コンピュータの基礎になっている量子ビット=qubit の振る舞いを理解するのは、難しいことではありません。 次の四つの「規則」に従っていると考えればいいのです。 1. Qubitは、状態 |0>と状態 |1>の「重ね合わせ」の状態を取る。|Qubit> = α|0> + β|1> ; 𝛼^2+𝛽^2 = 1 ; 𝛼, β ∈ ℂ
2. 観測を行うと、Qubitの「重ね合わせ」の状態は失われ、0か1かの情報が返る。(普通のbitが返る!) 3. この時、0を得る確率は、|𝛼|^2 で、1を得る確率は、|𝛽|^2 で、与えられる。

4. Qubitの状態 α|0> + β|1>を、ある操作で、他の状態 α'|0> + β'|1> に変化させることができる。

この四つを頭に入れるだけで、量子コンピュータの理解が、グンと深まります。四つの「規則」を図にしてみました。 一番、大事なところは、規則の二番目だと思います。要するに、Qubitの重ね合わせの情報を知りたいと思っても、観測した途端に、重ね合わせの状態は消失して、0か1かのディジタルな情報が返るだけなのです。 (じゃ、どうして「量子コンピュータ」が可能なのでしょうね? それは、とてもいい質問です。) 11/30マルレク「量子コンピュータとは何か?」では、この辺りを、わかりやすく解説します。お申し込みは、こちらから。http://peatix.com/event/322426/ 12/9「紙と鉛筆で学ぶ量子情報理論基礎演習」(概要と申し込みは、こちらから:http://lab-kadokawa38.peatix.com/ )では、もう少し突っ込んで、ディラックのケット表記を導入して、エルミート演算子とその固有値、量子の状態を変化させるユニタリー演算子、ハミルトニアンと簡単なシュレジンガー方程式の話をします。 こう書くと難しそうですが、基本になるのは、高校の数学の範囲に収まる簡単なベクトル・行列の計算です。紙と鉛筆で、繰り返し具体的に計算することを通じて、少し抽象的な、先ほどの概念を理解できるようにしたいと考えています。