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「紙と鉛筆持ってきて」

先のポストでも述べたように、我々の直観に反する量子の世界の運動を理解するためには、数学的アプローチが欠かせないのだが、その数学 -- 例えば、場の量子論の数学は、結構難しい。 ただ、量子コンピュータの基礎を理解するためには、量子力学全体の理解が必要なわけではなく、量子力学の基礎の知識が必要なだけだ。その数学は結構易しい。これは、大事なポイントだ。それは、ベクトルと行列の数学を、「ちょっと」拡大したものだ。 基礎として学ぶべきことは、何十年も前に、フォン・ノイマンが定式化している。ディラックのBra-Ket記法は、量子力学の基礎の数学を見通しの良いものにする、素晴らしいアイデアである。Ket記法がわからないと、量子コンピュータは入り口でつまづいてしまう。 もちろん、僕は物理の専門家ではないので、難しいことは教えられないのだが、ここまでだったら、教えられそうなきがする。 で、今考えていることは、マルレクで、量子コンピュータのオーバービューをしたいとは思っているのだが、それとは別に、「量子コンピュータのための量子力学の基礎入門」みたいな講義ができればいいなと考えている。一日コースで。 「紙と鉛筆持ってきて」 イメージは、こうだ。 最初の時間、具体的な数値で、列ベクトルと行ベクトルの和やスカラー倍、そしてその内積、行列とベクトルの積の計算をしてもらう。(だから、行列の計算がわからない人も、受講しても大丈夫) それから、複素数の共役、行列の転置を導入して、また、計算。(ただし、具体的な数値で) 今度は、Ket記法を、具体的な、列ベクトル・行ベクトルの略記法として教えて、また計算してもらう。 まるで、「公文式」だ。
そうだ、僕らは、こういうの「ハンズオン」というんだ。 そのあとで、普通の量子力学の形式的な講義をする。
状態と観察量の区別。エルミート演算子としての観察量、観察される値はその固有値であること。またその確率はどう与えられるのか等々。 ただ、一日に詰め込むのは、このあたりまでが妥当かも。 一つの系ではなく、複数の系からなるシステムの話が必要になる。|u>とか|d>だけではなく、|uu>とか|dd>とか ( |ud> - |du> ) / √2 とかにKet記法も拡張される。量子コンピュータでなら、|0000000>とか|10101…

認識能力の二つの飛躍

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我々が、重ね合わせやもつれ合い(エンタングルメント)といった、ミクロな量子の世界で起きる奇妙な振る舞いを「奇妙」と感じるのには、理由がある。 それは、我々人間を含む全ての動物の、感覚器官も脳も、その知覚と認識の能力も、目の前の、絶えず変化し運動している現実の認識の為に進化して来たからである。 チーターがジグザグに逃げるガゼルを追いかける時、鷹が上空から地上のウサギを狙って急降下する時、カメレオンが長い舌を伸ばしてハエを捕まえる時、もちろん、我々の祖先が弓矢で獲物を狙う時、我々は対象との距離・対象の移動の速度から、次の瞬間の対象の位置を予測する。 動物の知覚・運動のシステムは、こうした物理計算を瞬時に実行し、その計算結果で、自らの運動を自動的にコントロールするように進化して来た。この知覚・運動能力に組み込まれた、コンピュータが我々の外界・物理世界の認識の枠組みを決める。それは、古典的な力学の世界に、適応している。 いや、逆に、長い進化を経て、我々に組み込まれた、知覚・運動コンピュータが、自らが適応してきた、古典的な力学を「発見」したと考えた方がいいのかもしれない。 いずれにしても、我々に組み込まれた知覚・運動コンピュータにとって、ミクロな量子の世界は、想定外の対象なのである。 だから、人間の脳を、いくら精緻に分析し、シミュレートしたとしても、そのままでは、ミクロな量子力学的な世界の認識には至らないだろうと、僕は考えている。(同様に、超マクロな「宇宙」の認識も、我々の知覚・運動組み込みコンピュータの、そのままの能力の「外挿」では、うまくいかないはずだ。) それでは、超ミクロな量子の世界(あるいは、超マクロな時空)の認識には何が必要なのだろうか? 一つは、我々の「感覚能力」を拡大することだ。 今回のノーベル賞の対象となった「重力波の検出(レーザー干渉計)」も「cryo電子顕微鏡」も、こうした我々の感覚能力の拡大と考えることができる。CERNの加速器は、ミクロな世界への我々の「感覚器官」なのだ。 ただ、それだけでは足りないのだ。
新しい世界の認識には、数学の助けが不可欠だ。 (ニュートン力学の成立と微積分の成立は、同じものだ。アインシュタインの重力理論に先行したのは、リーマン幾何学だ。) 数学的な認識能力を、ある種の新しい感覚能力と考えることもできるのだが、僕は、それは、…

「20世紀の音楽を聴く会」の情報を探しています

1966-68年くらいに、渋谷の山手教会で、「20世紀の音楽を聴く会」(正確ではないかも)というのが定期的に開催されていました。入野義朗、柴田南雄、諸井誠らが主宰していたはずです。この期間、僕は、だいたい全ての会に出ています。一柳も出演していました。若いブーレーズも来ていました。 日本の現代音楽史では、画期的な取り組みだったと思うのですが、ネットで探しても、この取り組みの情報が見つかりません。なにか情報お持ちの方いらっしゃいましたら教えていただけませんか?

漏水だ!

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家で漏水があったらしい。 先月3,250円だった上下水道料金が、今月は、39,840円だという。初めての経験。

複雑性の理論の新展開 -- 量子マネー

先日のマルレクでは、エントロピーの歴史を中心に、ボルツマン、シャノンから量子情報理論の入口のところまでの話をし、科学の基礎理論のレベルで、100年に一度の大きな変化が起きているという話をした。 現実的な課題との接点では、凝縮系物性論に大きな変化が起きていて、それが、21世紀の新しい量子デバイスや高温超電導マテリアルの創出に結びついていくだろうと示唆した。 時間の関係で、マルレクでは、複雑性の理論については、資料は少し用意したのだが、あまり語ることができなかったので、少し補っておこうと思う。 ここでも大きな変化が進行中である。 基本的には、ゲーデルやチューリングの「計算可能性」(あるいは、「計算不可能性」)の理論として出発した複雑性の理論が、単なる形式的・数学的な理論として閉じているのではなく、物理の基礎理論と深いつながりがあることが発見されていくのである。 この分野で、もっとも目覚ましい理論的成果は、ブラックホールで情報が失われるか否かをめぐる長い論争の現代版であるAMPS Paradoxの、ハーローとハイデンによる「解決」である。それらの理論的オーバービューについては、別の機会に紹介したいと思う。 ここでは、こうした現代の複雑性理論の「現実的な課題との接点」について触れてみようと思う。それは、「量子マネー」である。 誰でも、それが真正の通貨であることを知ることができるが、発行者しか、それを生成しコピーすることができない「量子通貨」の研究が活発に行われている。 それは、現在の「暗号通貨」と基本的には、同じ考えに基づくものなのだが、依拠する暗号化のメカニズムが異なる。量子暗号化は、現代の暗号化技術の最大の脅威とみなされることのある量子コンピューターによっても解けない暗号化である。 こうした研究は、今までは、あまり現実的な意味を持たないと考えられていた。量子コンピュータだってちゃんと動いていないのだから。僕が知っている、Shorのアルゴリズムに基づく、量子コンピュータでの素因数分解の最大の成功例は、15を3 x 5 に分解することだった。 ただ、冒頭に述べた新しい量子デバイスの登場が、状況を大きく変える可能性はある。 何も、量子デバイスを、どこかのセンターに鎮座する量子コンピュータと考える必要はないのだ。みなが持ち運ぶデバイスで、量子マネーを実装するというのが、ずっ…

ABCで講演します「はじめてのボイス・アシスタント」

10/14日開催の日本Android の会のイベントABC http://abc.android-group.jp/2017a/ で講演します。 「はじめてのボイス・アシスタント
--- Amazon Echo/AlexaとGoogle Assistant --- 」 先日の角川さんの講座で好評だった内容です。
もちろん、無料です。 是非、いらしてください。

9/28 マルレク懇親会

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9/28 マルレクの様子です

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マルレクの様子です。大きな、きれいな会場でした。富士ソフトさんに感謝。

















9/28 マルレク講演資料公開しました

本日のマルレク「IT技術者のための情報理論入門」の講演資料です。ご利用ください。

https://drive.google.com/file/d/0B04ol8GVySUuc2xVZmtVYkVwMDg/view

9/28 マルレク 講演概要最終バージョン

明日のマルレクの講演資料の作成で、じたばたしています。そう、まだできてないんです。でも、ようやく全体の構成を固め、「はじめに」の文章書きはじめました。 ごめんなさい。予告したものとだいぶ変わっています。集客、まだ150に届いていません。でも、集客気にするより、言いたいこといって、スッキリしようとおもいます。 「はじめに」と「Agenda」ご覧ください。 ---------
はじめに
--------- 今回の講演は、時代とともに相貌を変える「エントロピー」という概念を、身近なものとして理解してもらうことを、一つの目的としている。 19世紀に、熱力学の中で定式化され統計力学を成立させた「エントロピー」は、20世紀、情報理論の中で、「情報量」として再定義され、21世紀、物理学の基礎理論の中で「エンタングルメントのエントロピー」として、再々定義される。 講演では、こうした大きな流れを、いくつかのトピックスやエピソードを中心に紹介したいと思う。限られた講演時間で、フォーカスを明確にするため、「複雑さについて」と「ディープ・ラーニングとエントロピー」の部分は、Appendixに回した。 講演のタイトルも、ミスリーディングだったかもしれない。情報の問題に関わるIT技術者にとって、今、必要なことは、何もシャノンの「情報理論」を、改めて学ぶことではないからだ。 重要なことは、「エントロピー=情報」をキーコンセプトとして、現在、科学の世界で急速に進行中の変化を知ることだと思う。なぜなら、この変化は技術の世界での大きなイノベーションを引き起こす、実践的に大きな意味を持っているからだ。変化は、おそらく、急速に進行するだろう。「量子情報」の世界は、すぐそこに来ている。 本講演を、「量子情報理論」の入門として、受け止めてもらえれば嬉しい。いつか、マルレクで「量子コンピュータ」の話をしたいと思う。 ---------
Agenda
--------- ・イノベーションと科学
・エントロピーをイメージする
・19世紀 ボルツマン:統計力学とエントロピー
・20世紀 シャノン:情報理論とエントロピー
・21世紀 エンタングルメントとエントロピー
・なぜ、今、「情報理論」なのか
・Appendix
 ・複雑さについて
 ・ディープ・ラーニングとエントロピー

ノシャップ岬の夕焼け

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僕の車は、430円だった

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20年以上乗っていた車を手放すことに。ディーラーから、「下取り価格、430円です」といわれる。 古い車の自動車税はどんどん高くなって、年間8万円以上払っていたのに、下取り430円ですか? ゼロ査定だけど、新車の頭金をキリのいいところで切ってくれたので、それを下取り価格にしたということらしい。 ゼロだと諦めもつくが、430円は、かえって悲しい。  まだ、ちゃんと走るのに。
 馬力もスピードもあるのに。
 乗り心地だっていいのに。 新しい車は、昔、電化されていない田舎の線路を走っていた「ディーゼル機関車」(若い人知らないかも)と同じで、エンジンで発電してモーターで走る。これを「電気自動車」と呼ぶなら、「ディーゼル機関車」も「電気機関車」だよな。 誰かをひき殺そうとしても、自分で壁に激突して自殺しようとしても、ちゃんと邪魔をする仕掛けがついているらしい。ありがたいことだ。 そのうえ、ペダルを踏めば加速し、ペダルを離すとブレーキがかかる。まるで、遊園地のゴーカートだ。きっと、僕でも運転できる。 でも、僕は運転免許を持っていないので、運転してはいけないらしい。(Googleの自動運転カーの試作車のあるものには、ハンドルがない。これは、もちろん、乗るのに、免許はいらない) 車を乗り換えるのは、何回か経験しているのだが、今回は、少し心が動く。車の写真など取ったことはなかったのだが、今回は、彼女に、「最後の写真」を取っといてほしいとお願いする。 理由は、はっきりしている。歳を取っていく自分と、廃車にされる車とを重ねているのだ。自分は、ポンコツ車ではないと思っているから。(けっこう、ガタがきているのだが) 「大きなエンジンは無駄」(小さなエンジンではできないこともある)
「燃費が悪いだろう」(講演料安すぎるから)
「安全装置もないだろう」(それがどうした!)  まだ、ちゃんと走るのに。
 馬力もスピードもあるのに。
 乗り心地だっていいのに。 ごめんね。430円で、売り飛ばして。

エンタングルメントのエントロピー

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先に、スープ内の情報は、「量子誤り訂正コード」のメカニズムで、缶に(内側から)送られているのかもしれないという話をした。 それでは、缶上の情報は、どのようにスープに伝わるのだろうか?  缶上の領域Aを底辺に持ち、スープ上に突き出した曲面XAが存在して、我々は、その表面を見ることができる。そこに、缶上の領域Aの情報が、エンコードされるのだという。(図は、高柳大先生の「重力理論と量子エンタングルメント」から、借用した。)
この曲面XAは、スープの中で、最小の表面積を持つ曲面(極小曲面)で、その境界は缶上のAの境界と一致している。 ところで、この極小曲面γAこそ、二人の日本人物理学者 笠と高柳が発見した、エンタングルメントのエントロピーに対応するものだ。(ベッケンシュタインによる、ブラックホールのエントロピーの発見に比肩する、おおきな発見だ。)缶上の領域Aのエントロピーは、スープ内のγAの表面積(プランク長の二乗を面積の単位とした時)に等しい。 このことは、スープである重力理論の時空が、エンタングルメントの集まりからできていることを、示唆している。 先日示した、樹状のグラフ(これを、Tensor Network というのだが、それについては後日説明する。ディープ・ラーニングのTensor Flow Network とは、全く関係ない。ただし、英文wikipediaの"Tensor Network"の記事は、ディープラーニングの話になっている。まぎらわしいので、注意。)との関係を示したのが、最後の図。 缶上の領域Lに対応するスープ内の極小曲面が、太い線で示されている。

9/28 マルレク キャッチコピー

「難しい?」 
難しくないです。大きな流れがわかります。 「わかって、どうする?」 
きっと、楽しいです。 「楽しくても、役に立つの?」 
役に立ちます。いつか。(10年後には確実に)

AdS/CFT対応と量子誤り訂正コード

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量子コンピュータが、従来のコンピュータでは実際の時間内では計算できないような、例えば、長いキーを持つ暗号を解くことができることは、よく知られている。 しかし、量子コンピュータが暗号を解いたという話は、聞いたことがない。それなのに、なぜ、量子コンピュータが複雑な暗号を解けるということがわかるのだろう? もちろん、それは、「理論的」に証明されただけだからということなのだが、実際には、もう少し、話は込み入っている。 実は、暗号解読の基礎になる、量子コンピュータによるShorの素因数分解のアルゴリズムを実装した、「量子ゲート」からなる「回路図」は、もう、ちゃんとできているのだ。図に、その一部を示す。
問題は、「回路図」は出来ているのだが、「回路」の実装ができないのだ。量子ゲートが、正しく機能するためには、コヒーレントな状態を長い時間維持しなければならないのだが、それが難しいのだ。 それも当然である。 量子の世界の、無数の状態の「重ね合わせ」とか「エンタングルメント」といった奇妙な性質が、現実の世界では、全く観察できないのは、現実の世界では、コヒーレントな状態を破壊するデコーヒレントな力が、圧倒的に強いからだ。これに抗するのは、容易ではない。 D-Wave等の、いわゆる「アニーリング型量子コンピュータ」は、いわば、ずっと「設計図はできているんだけど」といい続けているけど、実装「回路」を作れず足踏みしている「量子ゲート型量子コンピュータ」への、「もっと、別の攻め方も、あるんじゃないの」というアンチ・テーゼなのだ。 ただ、量子コンピュータの本命は、「量子ゲート型」である。 ここでも前進はある。 2012年度のノーベル物理学賞は、「量子世界での粒子のコントロール」への貢献で、イオン・トラップ、光子トラップのSerge Harocheと David J. Wineland に与えられた。 授賞理由は、次のようなものであった。「両氏は、独立に、以前には達成出来ないと考えられていたやりかたで、個々の粒子を量子力学的な性質を保存したまま、計測し操作する手法を発明し発展させた。」 もう一つの前進は、量子コンピュータ内、量子ゲート間の正確な信号の受け渡しを可能とする「量子誤り訂正コード」技術の研究が進んだことである。 両者ともに、量子コンピュータ実現のためには、必須の技術である。 ところが…

相対論と量子論の統一

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20世紀の物理学の大きな問題は、宇宙の巨大な時空を記述するのに成功した相対論と、極微の素粒子の世界の記述に成功した量子論をどう統一するのかということだった。 二つの理論の統一を目指す理論を、「量子重力理論」というのだが、大雑把に言って二つの立場があった。一つは、量子論の枠組みに相対論を取り込もうというアプローチだ。もう一つは、相対論の枠組みに量子論を取り込もうというアプローチだ。 ただ、両者とも、自分のホームグランドに、相手を引き込もうと、いろいろやったのだが、どうもうまくいかない。 そこに登場したのが、アルゼンチンの物理学者マルデセーナだ。彼の理論は、両陣営の対立(といっても、どちらも成功していなかったのだが)の、いわば、「斜め上」をいくものだった。 マルデセーナは、時空の理論と量子論的場の理論が、住む世界が違うことを発見する。キャンベルの缶スープに喩えれば、時空の理論が棲んでいるのはスープの部分で、量子論が棲んでいるのは、缶の部分だという。
(彼の発見は、100年近く経っても、二つの理論の統一ができなかったことを、別の見方から、説明するものになっているのは、面白いことだ。スープは缶ではないし、缶はスープにはなれない。) 重要なことは、彼が、二つの理論を、「全く別世界に棲むもの」として切り離したのではなく、両者の対応関係を発見したことだ。スープの「境界」が、缶であることが、本質的に重要だった。 (ブラックホールのエントロピーを担う、その「地平」も、ブラックホールの内部と外部を隔てる「境界」だ。) 両陣営とも、マルデセーナの主張を受け入れることになる。相対論と量子論の統一は、新しい段階に突入する。 その中では、時空を結びつけているのは、エンタングルメントのエントロピーだとする主張が登場する。これは、時空を結びつけているのは「情報」であるという、驚くべき主張だ。
この辺りは、以前に blogにまとめたことがある。興味のある読者は、次を読んでいただければと思う。「ER=EPRに先行したもの (超入門編)」https://maruyama097.blogspot.com/2017/06/erepr.html

9/28 マルレク講演概要

9/28 マルレク「IT技術者の為の情報理論入門」の一般のお申し込みは、今週中に、次のサイトから可能になります。http://peatix.com/event/297295/ 講演概要です。 ------
概要
------ 講演では、次の4つの話をします。   1.  ボルツマンのエントロピー  
  2.  シャノンの情報量
  3.  ディープ・ラーニングとエントロピー
  4.  エネルギーと情報 -- 21世紀の科学の展望 2時間の講演ですので、情報という概念が、21世紀の科学で中心的な役割を果たそうとしている大きな流れを、エピソードを中心に、わかりやすく説明できればと思っています。 以下、それぞれの内容です。 1.  ボルツマンのエントロピー 19世紀、ボルツマンは、産業革命を牽引した蒸気機関の効率化を目指す中で経験的に発見された「エントロピー」という量に、原子論の立場から、明確な理論的な説明を与えました。彼がマックスウェルと共に、その成立に大きく貢献した統計力学の手法は、現代の技術の基礎である、20世紀の物理学に大きな影響を与えることになります。 2.  シャノンの情報量 20世紀、シャノンは、ボルツマンと全く異なる情報の分野で、全く異なるアプローチをとりながら、ボルツマンらと同じ定式を満たす量を発見します。その量もエントロピーと呼ばれることになります。シャノンの理論は、20世紀の情報・通信の世界の発展に、中心的な役割を果たすことになります。 3.  ディープ・ラーニングとエントロピー 21世紀初めにAI技術の一部として普及したディープラーニング技術では、エントロピーに起源を持つコンセプトが利用されています。Cost関数として使われるcross entropy関数や、分類器として利用されるSoftMax関数がその例です。それらの背景と意味を理解することは、ディープ・ラーニング技術を深く理解する上で、重要なことです。 4.  エネルギーと情報 -- 21世紀の科学の展望 21世紀の物理学の変化を変化を牽引している主役の一人は、情報理論です。ブラックホールやエンタングルメントといった奇妙な物理現象の謎を解き明かすのに、量子情報理論と複雑さの理論は、欠かせない武器の一つになりつつあります。ここでは、いくつかの興味ふかいトピックを紹介したいと思います。

「マルレク+MaruLabo」フォロアー 3,000人超える

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「マルレク + MaruLabo」コミュニティ・ページのフォロアーが、今日、3,000人を超えたようです。皆様の、ご支援に感謝です。今後とも、よろしくお願いします。https://www.facebook.com/marulec2014/ Facebookで「友達」になっている人の 1/3ほどしか、「マルレク + MaruLabo」ページに「いいね」していないことに気づきました。なんでかな?

ブラックホールに、一個のフォトンが落ちると ...

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今、ブラックホールに、フォトン(光の粒子)が一個落ち込んだとする。このフォトンは、1bitの情報を持っているとする。 (本当は、フォトン一個は、無数の情報を持ちうるのだが。フォトンの波長を、ブラックホールの地平の半径と同じ程度に広いものにすれば、フォトンの輪郭はぼやけ、それが持つ情報を小さなものにできる) この時、ブラックホールのエネルギーは、どれほど増えるだろうか? それは、ブラックホールに落ち込んだ、1bitの情報を運ぶフォトンのエネルギーだけ増える。その量は計算できる。 エネルギーは質量に等しいので、この時、ブラックホールの質量が、どれだけ増えるかがわかる。 ブラックホールの地平の半径Rは、ブラックホールの質量Mで決まる。半径がわかれば、その地平の面積の変化を計算できる。 物理学者のサスキンドが、太陽程度の質量を持つブラックホールで、この計算をしている。 1bitの情報を持つフォトン一個が、ブラックホールに落ち込むと、ブラックホールの質量は、10^{-45}キログラム増えるという。小数点のゼロの下にゼロが45個並ぶ数だから、普通なら、無視しても構わない変化だ。 この時、地平の半径は、10^{-72}メーター伸びるという。さっきの変化より、もっともっと小さい。普通なら、無視しても構わない変化だ。 この時、地平の面積は、10^{-70}メーター広くなる。これも、無視して構わない変化だ。 まてよ。 サスキンドは、ここであることに気づく。10^{-70}というのは、プランクの長さ h= 10^{-35}の二乗じゃないか? そこで、ブラックホールの質量を、いろいろ変えて計算すると、驚くべきことに、どんな質量のブラックホールでも、1bitの情報を持つフォトンが飛び込むと、その地平の面積は h^2 プランク長の二乗分だけ広がるのである! (一部、脚色あり。) イメージとしては、こういうこと。 ブラックホールの地平が、h x h のマス目で、びっしり埋められているとする。ここに、1bitの情報をもったフォトンが、飛び込むと、新しいマス目が、他を押しのけて一つ増えるということ。なんか、格好いい発見である。
落ち込んだフォトンの情報は、地平の平面にへばりつくのだ。 これは、「ブラックホールのエントロピーは、地平の面積に比例する。」という、ベッケンシュタインの重要な発見を説明し…

ブラックホールに、僕が落ちると

ブラックホールに、僕が落ちていくとしよう。どこまで落ちれば、僕はブラックホールに飲み込まれたと言えるのだろう? ブラックホールの中心には、時空の構造が破綻している「特異点(Singularity)」があるのだが、この特異点に到達しないと、僕は、ブラックホールに飲み込まれたことにならないのだろうか? そうではない。 ブラックホールにロケットで近づいていっても、ある程度離れていれば、逆噴射してブラックホールから離れることができる。ただ、ある一線を越えると、どうやってもブラックホールの重力から抜け出すことができなくなる。 この、ブラックホールの中心を取り囲んでいる、そこを越えれば絶対に帰ることのできない球状の境界を、ブラックホールの「地平(Horizon)」という。ブラックホールに落ちたといえるのは、この「地平」を超えた時である。 ただ、このブラックホールの「地平」は、なんの目印もない空間上の境界である。ブラックホールに近づいて、この境界を超えても、特に変わったことが起きるわけでもなく、僕は、そのことに気づかないだろう。 もっとも、ブラックホールに近づくと強い重力(重力そのものというより、その「潮汐力」)が、僕をバラバラにするだろうし、太陽程度の質量のブラックホールの地平の半径は、3,000メートル程度だから、境界を超えたと思ったらすぐにシングラリティに飲み込まれるのだが。 ただ、もしも、僕が重力に強い耐性をもっていて、銀河の中心にあるような超巨大なブラックホール(超巨大な半径の地平を持つということ)に落ち込んだとしたら、ブラックホール中心のシンギュラリティに激突するまで、6-70年くらいの時間がかかるとすれば、僕は、境界を超えたことにも気づかず、ブラックホールの内側で、Facebookをしたりカラオケに行ったり、楽しい人生を送ることができるかもしれない。 ただし、僕が、その「地平」を超えた時、僕は能天気に何も気づかないのだが、それをブラックホールの外側で見ていた人は、僕の姿がゆっくりと見えなくなるのをみるだろう。そして、それ以降、僕の情報は、だれにも届くことはない。

講演準備始める --- ひとりごと

マルレクの講演スライド作りを始める。 エントロピーや複雑さについては、Facebookで時々投稿していたので、それらをコピペすれば、なんとかなるだろうと思っていたのだが、やってみると、どうも隙間だらけで、飛躍がある。他にやることたくさんあるのに、手間取りそう。 (仕事、いろいろ止まっています。関係者の皆様、そのうち復帰しますので、お許しください。) ディープラーニングでよく使うSoftMaxについては、Facebookではなく、blogの方に書いていたし「Softmaxを他の目で見る
」 https://goo.gl/SrNJr2 、Cross Entropyについては、説明不足。数学的なコンセプトを説明するのは、難しい。そこは、頑張らないと。わかりやすくするようガンバリます。 最低限、SoftmaxとCross Entropy については、AIやってる人には、役に立つ情報が提供できると思う。(「役に立つ」と思ってもらうのは、「役に立たない」という意見を罵倒するより難しいのだが。) そういえば、blogを書こうと思ったのは、「複雑さについて」語りたかったからだったことを思い出した。例えば、「複雑さについて(8)複雑さとエントロピー 」https://goo.gl/KznWNP このエントリー、8つもある。 マルレクは、2時間。
多分、全部、語るのは無理。 あまり現場の技術者の関心ないかもしれないけど、この路線でシリーズでやろうかと、集客のことや、後先を考えず、ヤクザなことを考える。 まあ、聞いてください。 僕が、こうしたセミナーをやりたいと思うのは、いま、科学の世界で、エントロピーと情報を切り口に(もっと言えば、量子Entanglement がキー)、100年に一度の大きな変革が進行中だと感じているから。 「それが、どうした?」 
「それが、僕の仕事のやくにたつのか?」 技術の世界は、科学の世界のあとを追うもの。 17世紀のニュートンらの「科学革命」を準備したのは、ティコ・ブラーエのような、毎晩、夜空を眺める「天文学者」とその観測データ。その「科学革命」が、18世紀後半の「産業革命」を可能にした。(少し、単純化しているが) 現在の科学革命を準備しているのは、毎日、ブラックホールを考え続けている人たちかもしれない。(「役には立っていない」人たちなのかも) 現在進行中の2…

角川講座終わる

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昨日の角川さんでのボイス・アシスタントについての講演の様子です。 講演を引きうけてからの準備期間が短く、直前でのマシン・トラブルで大変でしたが、新しい発見もあり(例えば、 https://goo.gl/K3Y3zY )、自分では、いいコンテンツができたと思っています。 遠藤さん、渥美さん、お世話になりました。


マシン落ちる

一時半過ぎに、突然、音もなく僕のMac Book Airが、落ちました。電源が、入りません。 太陽のせいかしら?  (性悪の、電源コードのせいかもしれませんが。) 皆さん、つつがなく、お過ごしですか? 諸般の事情で、ふて寝しようかと、思案していたところなのですが、目がさめました。

個人と社会の時計を同期する二つの方法

夜でも昼でも、寝たり起きたり、起きたり寝たりして仕事をすることがある。これで、二日で三日分ぐらいの仕事ができる。 はずなのだが。 弱点は、日にちの観念が、ちと、弱くなること。その上、僕の不規則な生活に合わせて仕事があるわけではない。 主観的には、n日でm+1日分の仕事をしたつもりでも、実際には、n日でm日分の仕事しかしていないことはある。nやmが大きければ、1日程度は、誤差の範囲。 はずなのだが。 予定が近づいてくると、1日の誤差は大きい。 どうも、どっちかの時計が狂っているぞ。僕のつたない計算では、予定が半日ほど、僕の時計より早いじゃないか。困るじゃないか。講演、朝3時からにできればいいのだけど。 僕の時計と、明石の標準時を、確実に合わせるには、二つ方法がある。 一つは、二つの時計が同期するまで、寝ないで起きていること。寝ないで起きているのは、得意だ。 もう一つの方法は、時計が合うまで、ずっと寝ていることだ。寝るのも得意だ。ふて寝ともいう。

ボイス・アシスタント アプライアンス

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ボイス・アシスタント・デバイスを、一つも持っていない僕に、 渥美 さんが、Google Home, LINE WAVE, Echo, Echo Show をかついで、持ってきてくれた。ありがたい。 実は、実物を見るのは初めて。そんなんで、よく、ボイス・アシスタントの話ができるものだ。(さわっていれば、よくわかるというわけではない。) "Hey Google", "Alexa", "Jessica" の声が交差する。 思ったんだけど、どうして外国人の名前で呼びかけなければいけないんだろう? (日本に入ってきたとして) 「ねー、ドラえもん」とか「へいへいほー」とか「こら、与作」でも、いいと思うのだが。

Alexa Intent Signature

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ちょうど一年前のマルレクで「パーソナル・アシスタント・システム」を取り上げ、当時のMS Cortana, Amazon Alexa, IBM Watson Dialogについては、結構、詳しく調べた。 今度、角川の 遠藤さんからリクエストがあって、ボイス・アシスタントの話をするので、いろいろ調べ直しているのだが、この一年の間に、Alexaのフレームが「進化」しているのがわかって面白い。 一年前のAlexaは、基本はVoiceCommandで、Speech2Textを直接呼ぶ必要はないものの、多数の発話のサンプルを一つのIntentに束ねるという素朴なIntent Modelだった。それはそれでいいのだが、例えば「日付」の発話を理解させるためにSample Utteranceに、DateIntentとして"January First"から"December Thirty-First"まで365日全てが記述されていて、こりゃ大変だと驚きあきれた。 Alexaの次の「進化」は、Intentの引数としてSlotを導入したことだ。Slotは、引数であると同時に型を持つ「変数」でもある。もしその型が事前に定義されたものなら、そのUtteranceを全て書く必要はない。先の例だと 、Utteranceのサンプルの文字列に{AMAZON.Date}を埋め込めばいい。Alexaの開発環境である"Alexa Skill Kit"は、こうした世界。これぐらいは、僕も知っていた。 こうした、Intent / Entity Modelは、現在のボイス・アシスタント技術で広く共有されている。(ただ、Google Assistant は、会話がカスタマイズ可能か微妙なので、ちょっと違いそうだ。それについては、別の機会に。) ただ、僕が感心したのは、Alexaの新しい開発環境である "Alexa Skill Builder (beta)" で導入された Intent Signature Syntaxである。"Understanding the Structure of the Built-in Intent Library" https://goo.gl/ebKVxg   AMAZON.Sear…

マルレク・ネット「人工知能の歴史を振り返る」配信開始

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7月31日、富士通さんで行われたマルレク「人工知能の歴史を振り返る」のネット配信が始まりました。ご利用ください。https://crash.academy/class/139/ 有料です。1,000円です。今回から、マルレク本体と同じ値付けになっています。ご了承ください。 10個のコースに分割されていますので、見やすいと思います。とても長い、当日の講演資料は、以下から、ダウンロードできます。 https://goo.gl/JBxu8o    ---------------------------------
   マルレク・ネット ビデオ・コンテンツ 
   ---------------------------------  「人工知能の歴史を振り返る」
https://crash.academy/class/139/
 「ニューラル・コンピューターとは何か?」
https://crash.academy/class/101/
 「Google ニューラル機械翻訳」
https://crash.academy/class/76/
 「RNNとLSTMの基礎」
https://crash.academy/class/66/